インタビューに応じる関根正裕・商工中金社長=1日、東京都内
商工中金の立て直しのため、民間から起用された関根正裕社長が9日までに朝日新聞のインタビューに応じ、「将来完全民営化できるように、中小企業の課題を解決できる自立した金融機関を目指す」と語った。不正が横行した危機対応業務への依存体質を見直し、全営業職員が中小の事業承継や事業再生などの支援に対応できるようにする。
関根氏は大規模な不正の背景について「厳しいノルマで職員が内向きになった」と指摘。業務ごとに細かく目標達成を求めていた評価制度は「全面的に見直す」とし、6月に公表予定の業務改善計画で示す。
経済産業省が設けた商工中金問題についての有識者会議は、信用不安のある中小への融資や企業合併・買収(M&A)、事業承継などを今後の事業の柱とするよう提言した。こうした分野は民間金融機関の支援が不十分なためだ。関根氏は「提言に沿った改革を進める。他の金融機関の手本になれるような新しいビジネスモデルに挑戦する」と述べた。店舗網や約1千人の営業職員は削減せずに研修を充実させ、新分野へ対応できるようにする。
経営監視を強めるために取締役の過半は社外取締役とし、人選は近く公表する。完全民営化について関根氏は「政治が決めること」とした上で、「収益力を上げて完全民営化に耐えられる組織にするのが自分の使命」と語った。(聞き手・福山亜希、久保智)