スルガ銀行の「不正認識」の構図
シェアハウス投資などへのスルガ銀行(静岡県沼津市)の融資で、行員らが資料の改ざんなど不正を黙認していた疑いが強まった。問題発覚から3カ月近くが経過した今も、スルガ銀は行員の不正への関与を認めていないが、行員らからは「不正抜きには考えられない融資だった」との声が出ている。
「通帳改ざん黙認」スルガ銀の数十人、社内調査に認める
スルガ銀の行員や元行員の間では「不正を知らないと言うのは無理がある」との声が出ている。不正はスルガ銀の融資基準と深く結びついているからだ。
行員らによると、スルガ銀の融資は物件価格の9割が上限。融資審査では、1割分の「手付金」を払える十分な貯蓄があることが求められた。1億円前後のシェアハウスの場合、1千万円超の預金残高を通帳などで示す必要があった。
ところが多くのオーナーは「自己資金ゼロで投資できる」と業者に誘われ、手付金を払わずにスルガ銀から融資を受けたケースが多い。なぜ基準に満たないのに融資を受けられたのか。
まず物件価格を水増しし、1億円の物件なら1・1億円の虚偽の売買契約書を作成。購入者に1千万円超の貯蓄があるように通帳コピーを偽造し、1億円の融資を引き出す。これが自己資金ゼロの投資を可能にするカラクリだった。
元行員は「1千万円も持つ会社…