今年1月、土俵祭に参加した稀勢の里(左)と白鵬=東京・国技館
稀勢の里の7場所連続の休場が決まり、相撲ファン待望のカードはまたしても実現しないことになった。白鵬との横綱対決だ。昨年春場所に稀勢の里が横綱になってから、2人の対戦は一度もない。
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これまで白鵬が43勝で、稀勢の里が16勝。2人の取組には、常に緊張感があった。
2010年九州場所、白鵬の連勝記録を史上2位の63で止めたのが平幕の稀勢の里だった。白鵬は土俵下まで転げ落ち、「これが、負けか」と漏らした。
一方、白鵬は稀勢の里の横綱昇進を阻む最大の壁だった。16年夏場所13日目、綱とりがかかる大関稀勢の里との全勝対決で、白鵬はあえて相手十分な左四つで組み、投げて仰向けに転がして見せた。白鵬はこの時は「強い人が大関になる。(さらに)宿命がある人が横綱になる」と言った。
そして、昨年初場所の千秋楽。14日目に初優勝を決めた大関稀勢の里は、千秋楽で勝てば横綱昇進をより確実にできる状況だった。立ち合いから押し込んだのは白鵬。だが土俵際、耐えた稀勢の里が逆転のすくい投げを決めた。綱をつかみ、優勝インタビューでは涙を流した。現時点で、これが最後の対戦になっている。
稀勢の里は横綱昇進後、白鵬について「毎場所、対戦のある力士ですから、もっともっと考えて稽古して倒していかないといけない相手だと思います」と語っていた。双璧となって「2強」の時代が到来するかと思われた。が、互いのけががそれを阻んでいる。
本場所で顔をそろえたのは、稀勢の里が横綱になった昨年春場所からの105日間のうち32日間のみだ。
白鵬は休場明けに強く、優勝を2度している。稀勢の里は万全の状態で戻ってこないと、白鵬の相手にならないかもしれない。(菅沼遼)