運搬車「ターレ」を使って移動ルートを確認する関係者=2018年5月16日午前、東京都江東区の豊洲市場、竹谷俊之撮影
10月11日に開場する豊洲市場(東京都江東区)で16日、業者が物流のルートなどを確認する「習熟訓練」を行った。水産物部の卸と仲卸の業者のほか、運送業者や買い出し人ら約2100人が参加。1~4階までの垂直移動など、築地市場(中央区)と異なる点も多く、不安の声もあがった。
水産物部の習熟訓練は2回目で、報道陣にも公開された。市場の水産卸売場棟の1階でトラックから降ろした荷物を、フォークリフトで荷さばき場まで運搬。検品を終えた荷物は行き先ごとに分け、配送するものは4階までエレベーターで送ることになるという。
卸売場棟から仲卸売場棟への通路では、ターレと呼ばれる運搬車で荷物を運んだ。築地には1500台を超えるターレがあるといい、この日は順番にゆっくり走りながら、左側通行の経路を確認した。
訓練は約2時間実施。4階までの垂直移動は築地にはないため、送る側と受け手側がスムーズに連携しないと荷物が滞ってしまうことも危惧されている。訓練後、卸売業者でつくる都水産物卸売業者協会の伊藤裕康会長は「開場までの残り5カ月で、膨大な数の物と人をどう動かすか調整しなきゃいけない。今後も習熟訓練を重ね、課題を解決していい形で開場を迎えたい」と話した。
訓練には、豊洲移転に反対するメンバーも参加。中央市場労働組合の中沢誠さんは「豊洲は築地より広いうえ、垂直移動もあって負担が大きい」と語った。築地で働く運送業者の男性も「訓練ではごく一部の荷物の動きしか確認しなかったので、物流全体の動きはまだ想像がつかない。勝手が大きく変われば大変だ」と不安そうに話した。(西村奈緒美)