米国務省は23日、在イスラエル米大使館を5月に商都テルアビブからエルサレムに移転すると発表した。当初、来年中としていた予定を大幅に前倒しすることになり、パレスチナ側は強く反発している。
大使館のエルサレム移転「来年末までに」 米副大統領
国務省によると、大使館の移転はイスラエルの建国宣言70周年の記念日である5月14日に合わせて行われる。現在、米総領事館として使われている西エルサレムのアルノナ地区にある建物に移転させ、暫定的な大使館として大使や少人数の職員が滞在する。来年末までに敷地内で新たな建物を使い、暫定大使館の規模を拡大。恒久的な大使館の建設に向け、エルサレムで大使館の用地探しも始めたという。
国務省のナウアート報道官は声明で「我々はこの歴史的な一歩を踏み出すことに興奮している」とした。
トランプ大統領は昨年12月、エルサレムをイスラエルの「首都」と宣言し、国務省に大使館移転の準備を指示。ペンス副大統領は今年1月、イスラエルを訪問し、大使館移転を2019年末までに行うと表明していた。
エルサレムはユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地。国際社会はエルサレムをイスラエルの「首都」と認めておらず、日本を含めて各国は大使館をテルアビブに置いている。パレスチナ自治政府は東エルサレムを将来の独立国家の首都と位置づけており、米国の方針に猛反発している。
トランプ氏はイスラエルとパレスチナの中東和平の仲介に意欲を見せているが、イスラエル寄りの姿勢を鮮明にするトランプ政権の仲介をパレスチナ側は拒否している。トランプ政権は今年1月に国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への拠出金の半分以上を凍結するなど、パレスチナへの圧力を強めている。(ワシントン=杉山正)