厚生労働省の有識者会議は16日、インフルエンザ治療薬「タミフル」の10代への使用制限を解除する方針を決めた。薬をのんだ子どもがベランダから転落するなど異常行動が相次ぎ、2007年から10代への使用を原則禁止してきたが、タミフルによって異常行動が起きると結論づけられないと判断した。厚労省は年内にも添付文書の改訂を製薬会社に指示する。
タミフルの処方は、インフルが重症化する危険が高い場合などには認められている。研究班が10代の異常行動を分析すると、09~16年の100万処方当たりの報告数は、タミフルを使った患者は6・5件。別のインフル治療薬でもリレンザ4・8件、ラピアクタ36・5件、イナビル3・7件。薬を使わない患者でも確認されている。研究班は「薬の服用の有無、種類に関わらず、インフルエンザ罹患(りかん)時には異常行動を起こす可能性がある」とした。
この日の有識者会議では、「ほかの薬でも同様に異常行動が起こっており、タミフルだけが危険だという誤ったメッセージになる」などの意見が出た。厚労省は、添付文書の警告欄に書かれた「10歳以上の未成年の患者に、原則として使用を差し控えること」の削除をするよう指示する方針だ。タミフルは、国内では01年に発売。のみやすい薬として、広く使われた。07年以降、10代への処方は減少したが、16年度の推計で10代は約10万人に処方されている。(黒田壮吉)