大リーグの試合前に稲葉氏(左)と言葉を交わすマーリンズのイチロー=2016年6月、杉本康弘撮影
野球日本代表「侍ジャパン」の稲葉篤紀監督(45)が、大リーグ・マリナーズの会長特別補佐に就任したイチロー(44)に助言を求めていく考えを示した。同じ愛知県出身。2009年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でともに戦った1歳下の「レジェンド」の豊富な経験や考え方を、選手たちに伝えていくという。
「本当に真剣に考えてくれて、的確なアドバイスをくれる。これからも相談していきたい」。稲葉監督は19日、五輪関係のイベントとなる「ジャパンウォーク in TOKYO 2018春」に出席。トークショーで2020年東京五輪の目標を「金メダル」と改めて宣言した後、イチローとの親密な交流を報道陣に明かし、謝意を表した。
打撃コーチを務めた昨年のWBCでは、米国投手独特の「動く球」対策をイチローに聞いた。すると、「動く球対策は難しい。永遠のテーマ」「米国の投手は自分のウィニングショット、一番自信のある球を打たれるのが嫌だから、その球を打つ」といった趣旨の「長文メール」が返ってきたという。
稲葉監督は「心理面で有効。それ(一番自信のある球を打つこと)をできるのがイチロー選手であって。難しいとは思いますけど……」と苦笑いした。また、イチローがマリナーズの会長特別補佐に就任した時も連絡し、イチローから「自分のやるべきことをしっかり頑張る」との返事を受け取ったという。
東京五輪に向け、「侍ジャパン」の活動に関与してほしい、との気持ちはあるが、指揮官は「こちらの願望を押しつけるだけではいけない。今はそっと見守っていきたい」とイチローを気遣った。(野村周平)