米朝が、首脳会談の実現に向けた準備を加速させている。トランプ政権は北朝鮮と核問題の交渉経験があるソン・キム元北朝鮮政策特別代表を27日から北朝鮮に派遣し、北朝鮮との高官協議を開始。両国は28日、シンガポールにも代表団を送った。開催を目指す6月12日まで時間的な制約がある中、非核化をめぐる溝をどこまで埋められるのか、予断を許さない情勢だ。
トランプ氏と正恩氏、「会えない」「会いたい」の3日間
北朝鮮入りした米政府の代表団は、現駐フィリピン大使のキム氏が率いた。南北朝鮮の軍事境界線上にある板門店の北朝鮮側施設「統一閣」で協議が始まり、米ワシントン・ポスト紙によると、北朝鮮の崔善姫(チェソンヒ)外務次官らと29日まで会談する予定という。北朝鮮の「完全な非核化」に向けた具体的な道筋など、首脳会談で議論される内容を調整しているとみられる。
トランプ氏は27日、「米国のチームが北朝鮮に到着した。北朝鮮は輝かしい潜在能力を持ち、いつの日か素晴らしい経済金融国家になると固く信じている」とツイート。米朝高官協議が北朝鮮で行われ、公表されるのは珍しい。板門店での高官協議が急きょ実現したことについて、韓国の外交関係者は「それだけ両者が交渉を急いでいるためではないか」と話した。
米国の外交専門家の間では、北朝鮮の核問題に精通するキム氏が関与することになったことを歓迎する声は強い。2月にジョセフ・ユン北朝鮮政策特別代表が突然辞任して以来、北朝鮮を専門とする外交官が関与していないことが不安視されていた。韓国系米国人のキム氏は、国務省朝鮮部長や6者協議担当特使、駐韓大使などを歴任し、2014~16年、北朝鮮政策特別代表を務めた。
一方、シンガポールに派遣され…