後半、勝ち越しのゴールを決める乾(右から2人目)=関田航撮影
(12日、日本4―2パラグアイ 国際親善試合)
【試合詳報】乾2発、香川もゴール 西野Jが初勝利
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日本代表が、待ちわびた瞬間だった。
1点を追う後半6分。相手ゴール前でパスを受けた乾が、ドリブルで右へ持ち出す。「練習で打っていた形。自信はあった」。右へ持ち出し、狙い澄ましたシュートがゴールに吸い込まれた。西野監督が就任してから3試合目にして、日本が奪った初得点だった。
前半32分には、自陣深くから球をクリアしきれず、パラグアイにゴールを許していた。日本が先取点を奪われるのは、今年に入って5試合連続。チームに漂っていた重苦しいムードを、その一蹴りで吹き飛ばしてみせた。
所属クラブで負った右太もものケガで出遅れ、乾は国内合宿では別メニュー調整が続いた。日本代表も目に見える結果を残せないでいた。苦しい状況が続いても、乾は動じることなく言っていた。「スイス戦とパラグアイ戦は失敗できる。そこでどうチャレンジできるか。内容を求めたい」
その思いを、プレーで体現する。後半18分にもゴロで蹴り込みこの日2点目。乾のプレーで勢いづいた日本の選手は、攻めあぐねる時間の多かったスイス戦までとは打って変わり、次々とパラグアイゴールへと襲いかかる。32分には相手のオウンゴールを誘った。
日本にとって、今年5試合目で手にした初勝利。W杯に出場しないパラグアイは、経験を積ませる目的で若手主体のメンバーで臨んできただけに手放しでは喜べない。乾も、そのことは分かっている。「本当の戦いは、次。とにかく難しい戦いというのは分かっている。今日で満足せず、しっかり調整して入っていきたい」。とはいえ、西野監督になり、未勝利、無得点のままW杯を迎えるという最悪のシナリオを避けられたのは、収穫だった。(清水寿之)