届け出を済ませた民泊施設が掲示する愛知県の標識
「民泊」が15日、全国で解禁される。愛知県内では8日までに24件が届け出を済ませた。観光振興に役立つと期待される一方、近隣トラブルも懸念される。名古屋市は、トラブル回避のため独自の条例を制定した。
県と名古屋市によると、届け出は名古屋市16件▽常滑、犬山市各2件▽大府、東海、一宮の3市と設楽町が各1件。名古屋市は「共同住宅と一戸建てが半々ぐらい」といい、他の市町はいずれも個人の事業者が自宅に泊める形態だ。
民泊を巡っては、無届けの「ヤミ民泊」や、利用者が出す騒音などが問題になってきた。名古屋市は2017年度、「ヤミ民泊」44施設の営業を中止させた。騒音やゴミ出しのルールが守られないなどの苦情も市に相次いだという。このため、市は今年3月、住居専用地域での営業を金曜正午から翌週の月曜正午までに制限する独自の条例を作った。担当者は「仕事や学校がある平日は静穏な環境が維持できるよう配慮した」という。
県は、民泊事業者に法令を守ってもらうため、独自のチェックリストを作った。避難経路の表示や宿泊者名簿作成など、法律で義務づけられた29項目に印をつけた上で、届け出の際に提出するよう求めている。(堀川勝元)
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〈民泊〉 一般住宅やマンションに旅行者を有料で泊めること。15日に施行される住宅宿泊事業法(民泊新法)により全国で解禁され、都道府県などに届け出て認められると、運営できるようになる。事業者の自宅や入居者募集中のアパート、普段使っている別荘などが対象で、民泊用のアパート建設などは認められない。いずれも台所、トイレ、浴室などを備える必要がある。