飲食店に義務づける受動喫煙対策
2020年東京五輪・パラリンピックを見すえ、国の規制案より厳しい東京都の受動喫煙防止条例が成立した。都内の飲食店の大半が対象になり、大手チェーンも対応を検討し始めた。
条例成立により、都内の飲食店の約84%にあたる約13万4千店が、屋内を完全禁煙とするか、喫煙専用室を設置するか判断を迫られる。2年後の全面施行を前に大手チェーンは対応を検討し始めている。
「時代の流れですね」
ファストフード大手「ロッテリア」の広報担当者は話す。今は都内37店のうち30店が分煙型で、喫煙しながら飲食できる。条例を踏まえ、原則全席禁煙にする方向で検討を進めている。
喫煙する客が離れる不安は「正直ある」。だが、条件は他店も同じで「家族連れなどたばこを吸わない方々の来店を期待したい」とも言う。国の法律で禁煙の対象外となる東京以外の100平方メートル以下の店については「全国一律で都条例に合わせるという議論も出ているが、未定」という。
完全禁煙を避ける店もある。加熱式たばこ専用の喫煙室内での飲食は認められるため、ある大手コーヒーショップ会社はすでに、都内の店で、紙巻きたばこ用の喫煙室だけでなく加熱式たばこ用の喫煙室も試行的に設けた。担当者は「このような形態を広げることになるだろう」という。「たばこを吸う人、吸わない人の双方に快適な空間を提供したい」(広報担当者)
一方、区市町村からは「屋内の規制が厳しくなった結果、路上喫煙が増えるのでは」と懸念する声がある。歩きたばこなどが増えるのを防ぐため、小池百合子・東京都知事は都議会で、屋外公衆喫煙所の設置費を区市町村に全額補助する考えを表明した。
02年から路上喫煙を禁止している千代田区は、屋外の用地確保が難しいとし、補助金で空き店舗などを公衆喫煙所に改修して喫煙所拡充を目指す方針だ。
施行後、飲食店などへの指導は…