ニコチンを含んだ蒸気を吸う「加熱式たばこ」=兵庫県西宮市、2017年9月19日撮影
受動喫煙対策を強化する健康増進法の改正を検討する厚生労働省は、急速に普及が進む「加熱式たばこ」も規制対象とする方針を決めた。有害物質が含まれ健康被害が否定できないと判断した。病院や学校では当面禁煙とする。飲食店でも原則禁煙だが、紙巻きたばこに比べて緩やかな基準とする。
加熱式たばこは、加工したタバコ葉を専用機器に入れて加熱し、ニコチンを含んだ蒸気を吸う。国内市場の1割超を占め、その割合は高まっている。紙巻きたばこより煙が少ないのが特徴だ。
加熱式たばこについては健康影響に関するデータが不足していたため、法改正案での位置づけは決まっていなかった。厚労省研究班などの成果で近年、主流煙にタール成分がほとんど含まれていない一方、紙巻きたばこと同レベルのニコチンや、2割程度のアルデヒド類が含まれることが判明。換気がない環境で多量に吸うと室内のニコチン濃度は、安全な水準を超えた。受動喫煙を受けた人の一定の割合で、鼻やのどの痛み、気分不良などの症状が認められたという。
ただし健康影響の評価は確立されていないため、今回の方針は当面の措置とする。厚労省は飲食店を原則禁煙としながら、面積150平方メートル以下の飲食店の喫煙を認める法改正案を検討。新規開業の店や大手チェーンの店では喫煙専用室などを設けなければ喫煙を認めない。
150平方メートル超の店では「喫煙専用室」をつくれば紙巻きたばこを吸えるが、そこでは飲食できない。一方、加熱式たばこのみが吸える「喫煙室」では飲食を認める方針。来年の通常国会の早期成立を目指し、与党と調整する。(黒田壮吉)