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作る、捨てる、また作る…野党再編、印刷業者もドタバタ

作者:佚名  来源:asahi.com   更新:2017-10-10 11:32:34  点击:  切换到繁體中文

 

写真・図版


新党騒ぎの2週間と印刷業者の動き


安倍晋三首相が衆院解散を表明してから2週間になる。この間、新党「希望の党」の結党や民進党の分裂など、激しい野党再編劇で選挙構図は一変した。目まぐるしい離合集散の陰で、置き去りにされたものはなかったか。ある印刷会社の日々を通じて振り返る。


特集:2017衆院選


大阪市北区のマンションの一室にある、企画制作・印刷会社「スタジオくとうてん」。同社では、営業や制作などを担当する6人が働き、選挙になると、ポスター作りやたすきのデザイン考案などの仕事を請け負う。得意先の一つが、民進党大阪府連だ。大阪の選挙区では、13人が民進党から立候補を予定していた。


安倍首相が衆院解散を表明した9月25日の翌日。


民進党の立候補予定者の一人から、たすきを受注した。「民進党」のロゴと候補者の名前入り。営業担当者が解散の動きをにらみ、事前に陣営に接触して準備を進めていた。民進党の前原誠司代表と予定者が並ぶ「2連ポスター」も準備。28日に納品予定だった。


ところが、27日に事態は急変する。前原代表が希望の党への「合流」方針を提案すると報じられたのだ。民進党から出るはずだった別の予定者からすぐに連絡が入った。念のために政党名を入れず、名前だけのたすきを作ることにした。


28日、衆院解散。民進党の両院議員総会で、希望の党への事実上の合流方針が決まった。この時点で、民進党のたすきとポスターはすべて水の泡になった。


さらに30日、希望の党代表の小池百合子・東京都知事と日本維新の会代表の松井一郎・大阪府知事が大阪市内で会談。東京と大阪で候補者をすみ分け、大阪では希望の党の候補者を立てないことで合意した。大阪の民進党の予定者13人は希望の党へ合流できなくなり、行き場を失った。


無所属で立つのか、立候補をあきらめるか。予定者たちは、連夜、民進党大阪府連に集まって悩んだ。同社の営業担当は、流動化する政界の行方に神経をとがらせつつ、選挙準備はいったんストップさせた。


10月1日、無所属での立候補を決めた別の予定者から、はがきの上に貼るキャッチフレーズのシールの発注があった。公職選挙法で認められた選挙運動用の「推薦はがき」3万5千枚を用意していたが、「民進党公認」の文字があったため、シールで覆うという。


翌2日、民進党代表代行(当時)の枝野幸男氏が「立憲民主党」の結党を表明。すると今度はシールの文字を「立憲民主党公認」に変更する発注があった。


5日、大阪から立憲民主党に合流する民進党出身の7人が初めて大阪市で街頭演説。同社には前日、演説にあわせて「24時間以内にバックパネルがほしい」との依頼があり、ロゴ入りのパネルを突貫工事で作った。当日昼に営業担当が演説会場に直接届けた。


6日、同社に印刷物を発注した3人が立憲民主党の公認候補に決まった。翌7日、3日後の公示日から掲示板に貼る顔写真入りのポスターが完成した。


ポスターやパネルはできたが、間に合わなかったものもある。公示前、予定者たちは政党の機関紙の号外として政策を紹介するチラシを配るのが一般的だ。数十万枚分の印刷のために、提携する印刷工場で輪転機をおさえ、紙も用意していたが、政党が定まらないままで、発行できなかった。ある予定者は民進党の名前で刷った号外15万部を配ることができなかった。


この間、無駄になったポスターなどの料金は予定者側が負担する。同社によると多い人で80万円程度の損害金が出たとみられる。


政策論議より、政界のドタバタに振り回された2週間。岡本直人社長は「これだけ方向性がわからない仕事は初めてだった」と振り返り、こう指摘した。


「ようわからんことで解散し、次々と新しい党ができても、有権者は置いていかれている気がする。世の中は『いま、何の選挙をしているの』という空気なのでは」


衆院選は10日に公示される。(上田真由美)




 

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