浄土真宗の女性僧侶で、シンガー・ソングライターの三浦明利(みうらあかり)さん(35)が7月15日、奈良・吉野の大淀町にある自坊・光明寺で法話コンサートを開いた。6月に6年ぶりに出したアルバム「手のひらに受ける宇宙」(日本コロムビア、税込み2千円)の発売記念で、仏教の経典や説話をベースにした自作曲を2時間にわたって披露した。
三浦さんは光明寺の第21世住職をつとめるかたわら、得意のギターや歌と法話を組み合わせたコンサートや講演を全国各地で開いている。
アルバムは2012年の「灯(あか)り―akari―」(同、税込み2800円)以来。今回は表題曲を始め、「仏教伝来」「龍(りゅう)~naga(ナーガ)~」「音楽朗読劇『キサー・ゴータミー説話』」と、仏教に題材を得た作品が並ぶ。
光明寺本堂でのコンサートには近隣の門徒だけでなく、西日本各地のファンも駆けつけ、立ち見も含めて100人以上が聴き入った。
クライマックスは後半の「キサー・ゴータミー説話」。わが子を亡くした悲しみに打ちひしがれる若い母親が、シャカの導きで出家するという有名な仏教説話だ。三浦さんはインド・パーリ語の原文を読んだ上でストーリーを書き、「ダンマパダ(法句経)」の短詩に自作の曲をつけて合間に挟み入れた。「衆生(しゅじょう)は生じては滅するが、真の教えは滅することがない」という真理に母親が気づくまでをひとりで語り、歌った。
三浦さんはアルバムと同時に、この説話をまとめた自作絵本「100年生きるより1日生きる方がすばらしい」(仏教教育出版、税別1千円)も出版している。アルバムと本の両方でこの説話を取り上げたのは、自身が長女の光(ひかり)ちゃん(4)、長男の空(そら)ちゃん(3)の母になったことが大きい。「家族が増える中での気づきが、おのずと作品になりました」
9月には、浄土真宗本願寺派の要請でブラジルの門信徒大会に出席する。約2週間滞在し、3都市で演奏する。子どもたちと長く離れるのは初めて。「もうドキドキです。ネット通話システムをうまく利用してコミュニケーションしたい」と話す。
絵本などの問い合わせは光明寺(0747・52・2321)へ。(編集委員・小滝ちひろ)