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パチンコ企業、カジノに熱視線 本業不振 依存症対策は

カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法が成立し、2020年代前半にも国内でIRが開業する。巨額のカジノマネーを取り込もうと、パチンコ関連企業が運営に向けて動き始めている。熱視線の背景にあるのが、本業であるパチンコの不振だ。


アジア有数のハブ空港、韓国・仁川空港から車で3分の好立地に昨年4月、IR「パラダイスシティ」が開業した。ホテルや会議場のほか、韓国最大級の外国人専用カジノがある。


カジノの総面積は約1万5千平方メートル。阪神甲子園球場のグラウンドほどの広さに、バカラやブラックジャックのためのテーブル154台、スロットマシン281台が並ぶ。利用者の3~4割は日本人だという。


運営するのは、ゲーム・パチンコ機器大手セガサミーホールディングス(東京)と、カジノ大手パラダイス(韓国)の合弁会社。セガサミーは45%を出資した。施設全体の売上高は、18年3月期で2千億ウォン(約200億円)だ。


現在はセガサミーのグループ社員が約50人駐在。今後さらに増やし、不正を防ぐための現金管理やディーラーの育成、VIPへの営業など専門的なノウハウを蓄積する。日本でのIR事業参入に備えようとの狙いがある。


ライバルは、カジノの本場ラスベガスなどで経験をもつ海外の運営事業者だ。IR実施法が成立した20日、セガサミーの里見治紀社長は「国益にかなう施設の開発・運営を、自国の企業が責任を持って取り組むべきだと考えます」とのコメントを出した。


同業のユニバーサルエンターテインメントも16年12月、フィリピン・マニラで巨大カジノを備えたIRを開業した。


パチンコ関連企業がIR事業に参入する背景には、パチンコ業界の衰退がある。公益財団法人「日本生産性本部」によると、17年の参加人数は900万人。10年間で約6割になった。若者を中心にファンが減り、店舗数も減少。パチンコ市場は今後も成長が見込めないとして、関連業界はカジノマネーに期待を寄せている。


ゴールドマン・サックス証券の試算によると、東京・大阪・北海道の3都市にIRができた場合、カジノの粗利益は年間1兆7500億円規模にのぼる。


ただ、IR実施法はギャンブル依存症対策の実効性などに疑問を呈する声が相次ぐ中、与党が採決を強行した経緯がある。厚生労働省によると、ギャンブル依存症が疑われる人は全国に約70万人いると推計される。このうち大半がパチンコ・パチスロに最もお金を使っていた。


公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」の田中紀子代表は「パチンコの依存症問題を根本的に解決できない業界が、『カジノでは真摯(しんし)に対応する』と言ったところで、信用できない。そんな業界が運営に関わるのは大反対だ」と話す。(筒井竜平)


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