シリア内戦で軍事的に優勢なアサド政権と、少数民族クルド人を中心とする武装組織「シリア民主軍」(SDF)が内戦終結を見据えた協議を始めた。会合は26日に首都ダマスカスで開かれ、クルド人勢力側によると、対話のための委員会設置が決まった。
SDF側の28日の声明によると、会合は政権側の求めで開かれた。設置される委員会では、「分権的で民主的なシリア」に向けた行程表づくりや、暴力と紛争の終結に向けた取り組みが話し合われる予定という。
現在、シリアはロシアとイランの支援を受ける政権軍が国土の約6割を支配。一方、米国の支援を受けるクルド人の武装組織「人民防衛隊」を中心とするSDFは、ユーフラテス川の東側の国土の約4分の1を押さえている。
クルド人勢力は連邦制による自治権の獲得を目指している。これに対し、アサド大統領は5月、SDFの支配地域について「交渉での解決ができないなら、米国人がいようがいまいが、武力による解放しか選択肢はない」と述べていた。(イスタンブール=其山史晃)