くまモンのフランス出張2018
ローマ時代の雄大な遺跡などを次々踏破。恒例のフランス出張中の熊本県営業部長くまモンは今月、壮大さで知られる南フランスの世界遺産「ポン・デュ・ガール」とニームの円形闘技場を相次いで訪れた。
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1日10組限定
高さ49メートル、3層のアーチ構造を持つ巨大な水道橋ポン・デュ・ガールは、紀元前に造られて以来その威容を多くの芸術家や学者らにたたえられてきた。
1日10グループに限定されている橋の最上層の通行許可を取ったくまモンは、険しい坂道を登って横断に挑戦。頭がぶつかるぐらい狭い通路を渡りきり、人間以外としては初めてという最上層横断の認定証を受けた。
踊るグラディエーター
ポン・デュ・ガールを通った水道の行き着く先がニームの街。古代からの遺構を数多く残す都市の中心に位置する円形闘技場は、ローマ時代の姿を現代にとどめる貴重な建造物だ。今年で9回目を迎えたイベント「古代ローマ闘技ショー」は、馬や戦車、そしてグラディエーター(剣闘士)役のキャストらが戦闘を繰り広げる一大スペクタクルで人気を博している。
この日、闘技場前の広場でくまモンを迎えたのは、羽根飾り付きかぶと姿の百人隊長が率いる、いかめしいグラディエーターの一団だった。輝く剣と大きな盾にたじろいだ様子のくまモンだったが、音楽に合わせて踊り始めたらすっかりいつものペースに。キレのいいジャンプを繰り出すくまモンとリズムに合わせて剣を振り回す戦士たちに、居合わせた観客らは大喝采。その模様は地元テレビや新聞でも取り上げられた。
世界遺産落選でも……
くまモンのパフォーマンスは期せずして失意の市民を励ますものとなった。ニームは円形闘技場を含む「歴史都市建造物群」をユネスコ世界遺産に申請していたが、くまモンが来る前日に選に漏れたばかりだったのだ。
諮問機関の国際記念物遺跡会議(イコモス)は、円形闘技場のすぐ近くにモダンなデザインの「古代ローマ博物館」が建てられたことが景観に及ぼす影響を問題視。歴史的価値の証明が足りないとして登録延期を勧告した。翌日付の地元紙「Midi Libre」は編集長コラムでこの件にふれ、「イコモスの担当者は、クラシックな施設の前で日本から来たソーシャルメディア時代のスターが活躍している、という現実を見たら何を思っただろう?」とウィットを交えて批評した。
秋にも訪仏?
くまモンはニームからパリに移動。郊外の名門ゴルフクラブ「ル・ゴルフ・ナショナル」でゴルフの手ほどきを受けたり、6年連続となる日本文化の祭典「ジャパンエキスポ」に出演したりと大忙し。特に重要なミッションは、熊本県の小野泰輔副知事とのパリ市役所表敬訪問。観光・スポーツ担当のジャン=フランソワ・マルタン副市長との会談に同席した。
2019年に熊本で開かれる女子ハンドボール世界選手権や、フランス代表戦が熊本で行われるラグビーW杯について、くまモンは「ぜひ観戦に来て」とPR。マルタン副市長は、女子ハンド欧州選手権が今年11月にパリなどで開かれるといい、「参加各国への宣伝になる。熊本の代表団を派遣しては」と逆提案、熊本側も快諾した。くまモンがまたフランスを訪ねる日はそう遠くなさそうだ。(戸田拓)