東京都の小池百合子知事は31日、築地市場(中央区)から移転を目指す豊洲市場(江東区)について、「安心、安全な市場として開場する条件を整えられた」と述べ、「安全・安心宣言」をした。都は近く農林水産相に豊洲市場の開設認可を申請する方針。1カ月前後で認められるとみられ、全国の魚を取り扱う豊洲市場は10月11日に開場する予定だ。
豊洲の汚染問題では、舛添要一知事(当時)が汚染対策終了後の2014年に「安全宣言」をしたが、小池知事が移転を凍結。汚染対策の柱とされた建物の下の「盛り土」がないことが分かり、地下水から環境基準値を超えるベンゼンも検出。都は有害物質が揮発して建物に入るのを防ぐために地下の床をコンクリートで覆い、地下水位を下げるポンプの増設といった工事をした。そのうえで安全性について、都の専門家会議が7月30日、「科学的な安全は確保されている」との見解を示していた。
小池氏は31日、都庁内の幹部会議で、一連の経緯や専門家会議の評価を踏まえたうえで、「ステップを経て、将来のリスクに備え、豊洲市場のさらなる安全性の向上が図られた」と説明。「都民、市場関係者には豊洲市場は安全であり、安心して利用していただけると伝えたい」と語った。
業者からも、消費者に安全性をアピールするため、小池氏による「安全宣言」を求める声が上がっており、市場の業界団体の代表者にも自身の考えを伝えたという。都はこの「安全宣言」で、安全をめぐる議論に区切りをつけたい考えだ。今後は利用予定の業者との調整や引っ越し作業の準備を急ぐ方針だ。
変遷たどった都の対応
豊洲開場まであと約2カ月あま…