東京都の小池百合子知事は、今月の全国知事会議で鳥取県の平井伸治知事から「母の慈愛の心を持って」と言われたことに対し、16日の定例会見で「私は母になれなかった。安易な発言で、大変傷ついた」と不快感を示した。
全国知事会議は9日に都内で開かれ、大都市の税収の一部を地方に配分する「偏在是正」をめぐり、議論が交わされた。地方を中心に多くの県が是正に賛同しているが、東京都は税収減につながるため、小池知事が反対している。
平井知事は、今年のハロウィーンのコスプレイベントで小池知事が人気漫画「銀河鉄道999」のキャラクター「メーテル」の衣装を着たことに触れ、「先日のメーテルはすばらしかった。私たちの世代、男たちはメーテルに恋をしている。メーテルに頭をなでてもらう『哲郎』になりたいと思っていたもので、いまの柔らかいお声に感激もした」と発言した。さらに「メーテルの名前の語源はギリシャ語で母。ぜひ母の慈愛の心を持って、大都市と地方の折り合える案を考えていただければ」と語った。
これに対し、小池知事は16日の定例会見で、この発言への批判を自ら切り出し、「ちゃかすような発言があり、非常に困惑した」と強調。「『母として』と言われたが、私は母になれなかった。私ができなかったことをみなさんにかなえてほしいと、多くの女性に仕事も子育てもやってもらえるような環境づくりをしている」と話し、「大変傷ついた」と述べた。