文部科学省前局長の汚職事件に端を発した不正入試問題で、東京医科大学の調査委員会は7日、調査報告書を公表し、遅くとも2006年の一般入試から、女子や浪人年数の長い男子が不利となる得点操作を行っていたと指摘した。得点操作は女子らの合格を抑制するのが目的で、調査委は「女性というだけで不利な得点調整を行うことは、もはや女性差別以外の何物でもなく、断じて許される行為ではない」と厳しく批判した。
入試不正の実態赤裸々に 報告書要旨「自殺行為に近い」
東京医大入試「重大な女子差別」 前理事長の指示認定
「1点のため死ぬ気で」女子減点、憤る医学生と女性医師
調査委は、大学関係者14人へのヒアリングなどから、遅くとも06年の入試で、女子や浪人年数の長い男子に対する不利な得点操作が始まったと指摘。減点や加点の方法を変えながら、今年の入試まで続けていたと結論づけた。大学関係者は調査に対し、「女性は結婚や出産で長時間勤務ができない」「年齢が高いと医師になった後、大学病院に残らず独立する」などと理由を説明したという。
報告書は、一連の不正は前理事長の臼井正彦被告(77)が主導し、前学長の鈴木衛被告(69)=いずれも辞職、贈賄罪で在宅起訴=と学務課職員が関与したが、ほかの理事は認識していなかったとした。
さらに、前理事長らが女子らへの不利な得点操作に加え、特定の受験者への不正な加点も続けていたと指摘。背景として、前理事長と前学長が同窓会から、卒業生の子供らの入学を求める圧力を受けていたと説明した。前学長は調査に対し、「同窓生の子弟を入れることで、寄付金を増やしたかった」と話したという。ただ、2人は不正合格させた受験者の親から謝礼を受け取ったことも認めたといい、報告書は「(謝礼も)動機の一要素となっていた可能性も否定できない」としている。
報告書によると、同大では今年…