2020年度に始まる大学入学共通テストで導入される英語の民間試験の活用方法について、国立大の方針決定が遅れている。朝日新聞が学部入試を行う82大学に確認したところ、10日時点で具体的な方針を示したのは12大学にとどまり、37大学は「活用するかも未定」と答えた。目的が異なる複数の試験を比較することの公平さなどについて疑問が投げかけられ、方針がまとまらない大学が多いようだ。
国立大学協会によると、国立大は入試を変更する際、受験生の準備などを考慮して試験実施の2年前の7月に基本方針を示すケースが多い。国大協は全受験生に民間試験を課す方針を決め、ガイドラインを示しているが、半数近くの国立大では、この方針に従うかさえ決まっていない。
民間試験は英語の「4技能」(読む・聞く・話す・書く)を測るため活用が決まった。23年度までは大学入試センターが作る「読む・聞く」の2技能を測る試験も続く予定で、国大協はガイドラインで双方の試験を受験生に課し、民間試験の成績を①出願資格②センターの試験に加点③両方の組み合わせ――の方法で使うパターンを示している。また、出願資格とする場合は、国際標準規格「CEFR(セファール)」の下から2番目の「A2」以上、加点する際は英語全体の「2割以上」とする目安も決めている。
朝日新聞が82大学に確認したところ、①と決めたのは東京外国語や滋賀など4大学。②を採用したのは岩手、愛知教育など6大学で、いずれも配点割合は今後決めるという。広島大は大学が定める条件を満たせば、センターの英語試験を満点とみなす。③と答えたのは長崎、熊本の2大学だった。また、「活用する方針は決めた」としつつ、具体的な方法が未定なのは筑波や三重、京都、山口など33大学あった。
一方、北海道、東京、名古屋、大阪、九州など37大学は、活用するかどうかも含めて「未定」とした。理由としては「学内の議論がまとまらない」と説明する大学が多かった。(増谷文生、張守男、土居新平)