2020年度から始まる大学入学共通テストは「読む・聞く・話す・書く」の英語の4技能を測るため、民間試験を活用する。異なる試験の成績を比較するため、文部科学省が用いるのが「欧州言語共通参照枠(CEFR)」だ。欧州で異なる言語の人たちがお互いを理解することが目的で作成された枠組みだが、今月初めに京都大で開かれた集会では、この理念を抜きにしたまま、尺度としての役割が独り歩きすることを懸念する発言が相次いだ。(編集委員・氏岡真弓)
「CEFRの理念と現実」と題された集会は、京都大の西山教行教授(言語教育学)が実行委員長となり、各国の研究者が参加して2日と3日に開かれた。
西山氏は冒頭、CEFRが誕生した経緯を紹介。欧州の統合を目指し、「母語に加え、二つ以上の言語を学ぶことで相互理解を深めよう」という考えが背景にあったとして、「母語と英語を学べばよい」という日本との違いを指摘した。また、CEFRが「言語力を改善するためのガイドブック」であるため、基準ではなく「参照枠」とされていることも説明した。
甲南大の藤原三枝子教授(言語…