大学入学共通テストに導入される英語民間試験の受験が始まるまで、あと1年余り。民間試験をめぐる問題が指摘されるなか、大学側は受験生への影響を抑えようと、手探りで活用方法を決めている。一方、高校側は、試験の実態が見えないまま準備を求められ、不安が広がる。
英語民間試験を出願資格にする旧帝大も 地方は加点中心
「1年間話し合い、一番問題となったのが、受験生の住む地域や経済的な状況で格差が生まれることだった。入試の基本原則である公平・公正が保証できないと考えた」
昨年12月、英語の民間試験の成績を利用しない方針を発表した東北大の滝沢博胤(ひろつぐ)理事はこう話す。
文部科学省は2017年夏、共通テストで民間試験を使うことを正式決定。国立大学協会も同年、大学入試センターが作る英語の試験と民間試験の双方を全受験生に課す方針を決め、民間試験は①出願資格②センターが作る試験に加点③双方の組み合わせ――で活用する選択肢を示した。
だが、民間試験に問題が指摘されており、活用方法を実際に決める大学は慎重だ。東京大が昨年9月、民間試験の成績比較に用いられる欧州言語共通参照枠(CEFR)で、下から2番目の「A2」の能力を出願資格としつつ、民間試験の成績を必須としないと発表すると、旧帝大は次々と同じレベルの能力を受験生に求める方針を発表した。
大学が特に考慮するのは、受験…