大学入試センターは4日、2020年度から始まる「大学入学共通テスト」に向けて、昨秋に実施した2回目の試行調査の結果を発表した。新たに導入される記述式問題は、80~120字の解答を求める国語の問題は全ての正答条件を満たす完全正答率が15・1%で、0・7%だった1回目の試行調査より上がったが、数学は正答率・無解答率ともに改善しなかった。また、国語は3問の記述式問題全てで、約3割の受験生の自己採点とセンターの採点結果が一致しなかった。
文部科学省は当初、必要があれば3回目の試行調査を今年行うとしていたが、センターは「作問上の大きな問題はなく、『本番』の作問に集中したい」として実施しないと決めた。ただ、試行調査では採点基準の確定が予想より遅れ、この影響で採点結果を補正した答案もあった。このため、今秋には高校生1万人程度から記述式の答案を集め、採点作業を行う「準備事業」を実施するという。
2回目の調査は昨年11月、約6万8千人の高校2、3年生が参加し、主に大学を会場に実施された。全19科目のうち10科目の平均正答率が、センターが目標とする5割を超えた。
国語の記述式は、論理的な文章を読ませて探究レポートを書く設定で、1回目と同じく3問が出題された。完全正答率は75・7%、48・5%、15・1%。80~120字の問題の正答率が目標の2割に近づいた理由について、センターは解答の条件などを分かりやすくしたことが影響したとみている。自己採点の不一致率は30・2%、33・4%、28・2%で、1回目の21・2~30・5%より悪化した。自己採点の結果は、受験生が出願大学を選ぶ際に重要で、センターは正答条件をより丁寧に伝えるなどして不一致率を下げたいとしているが、「完全な一致は難しい」という。
一方、数学の3問の記述式問題の正答率は5・8%、10・9%、3・4%で、無解答率は17・3%、44・5%、62・0%だった。1回目は3問の正答率が1割を切り、無解答率が5割前後で、あまり変わらなかった。今回の自己採点との不一致率は6・6%、14・7%、10・2%だった。(増谷文生)