イスラエルが過去8年間にわたりヨルダンとの国境で差し止めてきたパレスチナ自治区宛ての郵便物が今夏、パレスチナ側に引き渡され、郵便局が仕分け作業に追われている。
パレスチナの郵便当局によると、世界各地から隣国のヨルダン経由でパレスチナに運ばれる郵便物が2010年からイスラエル管理下の検問所で差し止められていた。イスラエルの占領下にあるパレスチナでは人や物資の移動が制限されており、今回の解除も一時的な措置の可能性がある。
ヨルダン国境に近いパレスチナ自治区のヨルダン川西岸エリコにある郵便局の仕分け施設には7月下旬以降、手紙や絵はがき、小包、インターネットで注文された商品など計約10トンが届いた。文字や宛先が読みにくい古い手紙や思い出の写真アルバムのほか、アラブ首長国連邦から12年に送られたテレビや、トルコから15年に発送された車いすなどが山積みになっている。
施設の責任者ラマダン・ガザウィ氏(53)は「応援スタッフも頼んでいるが、8年分の郵便物をパレスチナ各地に届けるには2週間はかかる」と話す。
パレスチナ側は、16年にパレスチナ宛ての国際郵便がヨルダン経由で届くようにイスラエル側と合意したが、履行が遅れたと非難している。一方、イスラエル経由の郵便物はこの間も届いていたという。(エリコ=渡辺丘)