地域で信仰の対象や宝物として守られてきた仏像などが、高齢化や過疎化のために博物館に預けられるケースが近年目立っている。一方、博物館の収蔵スペースは限界に近い。貴重な文化財が行き場を失いつつある。
絵巻物など市指定文化財の絵画4点が、大量の古文書などと一緒に収められた収蔵庫。仏像や道祖神、人形、釜などで通路まで埋まった収蔵庫。平塚市博物館(神奈川県)に五つある収蔵庫は「もう満杯。かなり厳しい」。早田旅人学芸員は話す。
開館から42年。地域に根ざした博物館として文化財を含む郷土資料を集めてきた。今や収蔵する計16万点余の大半が市民からの寄贈、寄託となり、最近も毎年650~1500点ほど受け入れている。
延べ床面積計380平方メートルの五つの収蔵庫に収まらず、20年前から5キロ先の廃園になった幼稚園の部屋も使う。園内の敷地に倉庫も建てた。園にはカビの防止に欠かせない空調はない。
最近は、収蔵品と似たもの、保管に場所を取るものの受け入れを断ることも増えた。早田さんは「いまは価値がないように見えても、将来は重要になるものもある。一度断れば市民が次の寄贈をためらわないか心配」と無念そうに語る。だが新たな収蔵庫を造る財源はない。「なるべく整理して隙間をつくり、しのぐしかない」
茨城県立歴史館も収蔵庫はほぼ…