米ホワイトハウスは8月31日、11月にシンガポールで行われる東南アジア諸国連合(ASEAN)や、パプアニューギニアであるアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議に、トランプ大統領が欠席すると発表した。ペンス副大統領を派遣する。米メディアは、「アジア軽視」とのメッセージになると指摘している。
トランプ氏は昨年11月、ベトナムでのAPECで、米国が離脱した環太平洋経済連携協定(TPP)に代わる新たなアジア政策「自由で開かれたインド太平洋」構想を発表した。ただ、「米国第一」を重視し、自国に有利な二国間での通商交渉を進める考えを強調。このため、「多国間の貿易体制」の支持を表明した中国の習近平(シーチンピン)国家主席ほどの賛意を得られなかった。さらに、トランプ氏は直後にあったフィリピンでの東アジアサミットにも直前に欠席を表明。アジア軽視が指摘された。
ニューヨーク・タイムズ紙は今回のアジア歴訪の欠席について、「アジアの友好国が抱く、トランプ政権は対中国で頼りにできる安定した抑止力にはならないとの懸念をさらに強めることになる」と批判した。
一方、ホワイトハウスは、トランプ氏が11月11日にパリで開かれる第1次大戦終結から100周年の記念式典やアイルランド、11月後半にはアルゼンチンのブエノスアイレスで開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議やコロンビアなど、欧州や南米へ訪問することも明らかにした。(ワシントン=土佐茂生)