10月にあるブラジル大統領選に、汚職の罪で収監されながら立候補したルラ元大統領(72)について、同国の高等選挙裁判所は31日、立候補を認めない決定をした。ルラ氏は候補者の中で支持率トップだったこともあり、選挙戦は不透明さを増している。
ルラ氏は大手建設会社から高級マンションなどの賄賂を受け取ったとして、今年1月に二審で禁錮12年1カ月の有罪判決を受け、最高裁に上告している。ブラジルでは判決確定前でも、二審で有罪判決が維持されれば収監が認められており、ルラ氏は今年4月から収監されていた。
一方で、ブラジルの憲法は、判決確定前なら収監中でも立候補できると定めている。ただ、汚職などの罪で二審で有罪になった候補者は、「無犯罪記録法」で当選できない仕組みだ。
ルラ氏は10月の大統領選に、収監されながら立候補。しかし、高等選挙裁判所はこの日、7人の裁判官の過半数が「法律を単純に適用し、二審で有罪判決を受けた者は失格とすればよい」などとして、立候補資格がないと判断した。
ルラ氏は8月20日実施の最新の世論調査で、支持率が37%超で首位だった。立候補が認められず、陣営は今後、対応を迫られることになる。9月17日までは候補者の差し替えが認められているほか、今回の判断について、憲法違反として訴える可能性もある。(サンパウロ=岡田玄)