「後ろにいるヤツらは何者だ? フェイク(偽)ニュースだ」。8月21日、米東部ウェストバージニア州での選挙集会。トランプ大統領が後方のメディアを指すと、数千人の支持者が一斉にブーイングで応じた。
罵声を浴びせられる米CNNのホワイトハウス担当記者ジム・アコスタ氏。現場からの中継では、トランプ氏支持の白人男性らになじられ、モヒカン刈りの屈強なボディーガードに守られながらリポートする、異常な事態となった。
トランプ氏は気に入らない既存の制度やシステムを徹底的に攻撃し続けている。批判的なメディアは「フェイク」「国民の敵」とレッテルを貼り、トランプ氏らの疑惑を調べる捜査当局を「魔女狩り」と執拗(しつよう)に批判。7月のCBSテレビの世論調査では、トランプ氏を強く支持する人々のうち、主流メディアが流す情報を「正確だ」と答えたのはわずか11%だった。
一方、トランプ政権を支える正体不明の人物「Q」を中心とした陰謀論集団の存在がこの1カ月余りの間で目立ち始めている。トランプ氏の演説会場で、オハイオ州出身のクリス・レスリーさん(47)は親子で星条旗模様の「Q」の文字をあしらったTシャツを着ていた。「主流メディアの9割は悪の秘密結社の一部だ。トランプ氏は救世主として選ばれた。世界を救うのだ」とまくし立てた。
トランプ氏へ忠誠、議員にも 増殖する「チルドレン」
米ギャラップ社の調査(8月20~26日)では、トランプ氏の支持率は41%にとどまる。ところが、共和党支持者に限れば85%という圧倒的な数字をたたき出している。米国で何が起きているのか。トランプ氏の信認を問う11月6日の中間選挙を前に、米国の現場を追った。
「Q」とは昨年10月、ネット掲示板に登場したトランプ氏を熱狂的に支持する正体不明の投稿者。「Q」の主張を信じて解釈する、匿名(anonymous)の略のanonをつけた「QAnon(キューアノン)」という陰謀論集団が形成された。「Qは主流メディアが伝えないことを教えてくれる」と口をそろえ、信奉者がネット上で急速に増えている。
発信内容は「トランプ氏は不正…