2014年以来紛争が続くウクライナ東部で8月31日、同国政府と対立する親ロシア派勢力トップが暗殺された。同勢力の後ろ盾であるロシアは即座にウクライナ政府を批判したが、同政府は「武装勢力の内部抗争だ」として取り合わない考えだ。紛争をめぐって両国とドイツ、フランスの4カ国首脳が合意した政治解決のプロセスは進まないまま、混迷が深まっている。
殺害されたのは、ウクライナ東部の一部を占拠する親ロシア派幹部のアレクサンドル・ザハルチェンコ氏(42)。「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」を名乗る親ロシア派の二つの組織のうち、前者の「元首」とされる。
ロシアのメディアによると、事件は31日午後5時ごろ、親ロシア派が支配するドネツク市中心部で起きた。ザハルチェンコ氏がなじみのレストランに入って間もなく爆弾が爆発。レストラン内部は大破し、ザハルチェンコ氏を含む2人が死亡し、9人が負傷した。外から携帯電話を使って起爆した可能性が高いという。
事件が報じられた直後、ロシア外務省のザハロワ報道官は「ウクライナ政府が背後にいる」と批判。記者団に「(ウクライナの首都)キエフの戦争勢力は和平を求めず、テロリストのシナリオを実行している」とまで述べた。政治家からもウクライナを批判する声が相次いだ。
ザハルチェンコ氏の職務を代行する親ロシア派幹部は31日夜、同派系のニュースサイトに「複数の容疑者が拘束され、ウクライナ側の関与を認めた」と述べたが、詳細は不明だ。
親ロシア派支配地域では紛争開始以来、幹部の暗殺や暗殺未遂事件が続く。ザハルチェンコ氏は過去にも複数回、路上爆弾が爆発するなどの事件に巻き込まれた。「ルガンスク人民共和国」トップは16年8月に路上爆弾で狙われ負傷。同年10月、司令官の1人がドネツク市内のアパートに仕掛けられた爆弾で死亡した。
事件のたび、親ロシア派やロシ…