北アフリカ・リビアの暫定政府は2日、首都トリポリに非常事態宣言を出した。8月下旬から対立する民兵組織同士の戦闘が続いているためで、暫定政府は双方に停戦を呼びかけている。AP通信は、一連の戦闘により市民を含む少なくとも39人が死亡し、96人が負傷したと伝えた。
現地からの報道によると、戦闘は8月27日に首都南郊で発生した。今月1日には中心部のホテルにロケット弾が着弾し、3人が負傷。2日にも国内避難民が暮らすキャンプに着弾し、2人が死亡した。さらに2日には、戦闘現場に近い首都近郊の刑務所から約400人の受刑者が脱走したが、詳しいことは分かっていない。
リビアでは2011年にカダフィ政権が崩壊。新たな政府ができたが、14年になって政府・議会が東西両地域に分裂した。国連の仲介で15年に統一政府樹立で合意。トリポリを拠点とする西部に暫定政府ができたが、東部を拠点とする議会は承認せず、分裂状態は解消されていない。
リビアでは不安定な治安に乗じて、中東のシリアとイラクで弱体化した過激派組織「イスラム国」(IS)が台頭する恐れも指摘されている。(カイロ=北川学)