2011年6月。名古屋市立向陽高校の武道場で、柔道部の1年、倉田総嗣(そうし)さんは練習中に投げられた。
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頭を打ち、間もなく意識を失い、病院に運ばれた。
校長の棤木茂賀(ならきもとよし)さん(66)は、会合に向かう途中に連絡を受けた。急いで引き返した。
日付が変わろうとするころ、手術が終わり、家族が集中治療室から出てきた。棤木さんは頭を下げた。「学校で起きたことはすべて学校の責任です。おわびの申し上げようもございません」
翌日から教頭らと病院に通った。面会が許されるようになると、意識が戻らないままの倉田さんに「がんばれ」「先生、あきらめないよ」と声をかけ続けた。
歌を歌い、本を読み聞かせた。学校ぐるみで毎日、午前と午後、続けた。
事故から38日後。倉田さんは…