雨水が海に流れ出やすい地層の南の島に造る「地下ダム」。最も難しい「まっすぐに穴を開ける」作業に取り組む土木技師がいます。
ライト工業 土木技師 森崎文弘さん(56)
鹿児島・奄美群島の沖永良部島。地上40メートルの高さまで伸びる重量120トンの杭打ち機を見上げると、青空を流れる雲のせいでゆっくりと倒れてくるように錯覚する。この巨大な重機で「地下ダム」を造る現場責任者を務める。
サンゴ礁が隆起してできる南の島の地下は、軽石のように無数の穴がある「琉球石灰岩」の層が続き、農業に必要な保水力が乏しい。そのため地中に壁を造り、雨水が海に流れ出ないようにせき止める施設が地下ダムだ。
杭打ち機につけたドリルで、直…