北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が外遊の際に使う貨物機が7日、北朝鮮とロシア極東・ウラジオストクを往復していたことが分かった。ロシアと北朝鮮は12日に国交樹立70周年を迎え、ロシア政府は正恩氏を招待する考えを伝えていることから、近日中の訪ロに向け、正恩氏が乗る車などを運んだ可能性がある。
ノーボスチ通信によると、ウラジオストク空港当局が、7日に北朝鮮から臨時の貨物機3機が同空港に飛来したと認めた。3機が運んだ荷物はその後、ロシア国内の別の場所に運ばれたという。航空機の航路を追跡するウェブサイト「フライトレコーダー24」によると、機体は旧ソ連が開発したイリューシン76型機。シンガポールで行われた米朝首脳会談や北京で行われた中朝首脳会談でも使われたという。
プーチン大統領は9月、ウラジオストクで行われた東方経済フォーラムで、正恩氏の訪ロについて、「いつでも都合が良いときに来てもらってよい」と話し、早期に首脳会談を行う考えを表明。ペスコフ大統領府報道官は10月8日、報道陣に対し、「詳細が決まれば発表する。時期や場所、形式は協議中だ」と話した。
北朝鮮の崔善姫(チェソンヒ)外務次官は8日、モスクワでロシアのモルグロフ外務次官と会談した。ロシア外務省は「朝鮮半島和平のカギとなる問題について具体的に議論し、地域の安全保障の問題を早期に解決するために協力を強化することで一致した」としている。
北朝鮮は米国に対し、制裁の段階的な解除や、核の廃棄より朝鮮戦争の終戦宣言を優先することなどを求めている。この日の会談でも、ロシア側に自国の主張への理解を求めたとみられる。
崔氏は9日にはモスクワで、モルグロフ氏と中国の孔鉉佑外務次官との3カ国協議に臨む見通しだ。(モスクワ=石橋亮介)