イタリア、フランスなど欧州3カ国を歴訪した中国の習近平(シーチンピン)国家主席のシルクロード経済圏構想(一帯一路)が、欧州の国々の間に亀裂を生んでいる。英国の離脱問題など欧州連合(EU)が揺れるなか、一部の国が中国マネーに引き寄せられればEUの「遠心力」は強まりかねない。欧州の盟主を自任するマクロン仏大統領やメルケル独首相は神経をとがらせ始めた。
中国「一帯一路」、参加国なぜ増える? 欧米諸国に衝撃
一帯一路「双方に利益を」 仏大統領、中国を牽制
習氏がイタリアに到着した翌22日、マクロン氏はEU首脳会議後の記者会見で、「中国は欧州の分断につけ込んでいる」と警戒心をあらわにした。
マクロン氏は昨年、初のアジア外遊先に中国を選び、シルクロードの起点だった西安に足を運んで「(利益を互いに)分かち合う道に」などと協力への期待を表明していた。
ここに来て中国に厳しい言葉を発したのは、G7の一角をなすイタリアが、習氏の訪問を機に一帯一路への参加を表明していたためだ。マクロン氏は「欧州がナイーブでいられる時代は終わった」と語り、欧州が足並みをそろえて中国戦略を練るよう訴えた。
マクロン氏のいらだちには伏線…