2020年東京五輪の後を見据え、競技団体は補助金頼みから脱却を――。笹川スポーツ財団が各団体の財務状況を調べ、そんなリポートを発表した。東京五輪でのメダル獲得に向けて年々、国などからの補助金が増えている現状を指摘。「五輪後の補助金減少を想定し、自らの事業展開でどれだけ収益を得られるか検討することが求められる」と警鐘を鳴らす。
2020東京オリンピック トップ
同財団は12~16年の各年度について、最大59の団体の財務諸表を集計した。経常収益の合計は12年度の400億円から増え続け、16年度は622億円になった。その中で、大会参加料や広告収入などの「事業収益」、競技登録者らからの「会費収益」、国などからの「受取補助金」の3大収入源を比較した。
補助金は13年度が47億1千万円で、会費収益の55億6千万円を下回っていた。それが同年9月に東京五輪招致が決まると14年度は63億9千万円に。会費収益の60億3千万円を超え、15年度82億7千万円、16年度97億5千万円と膨らみ続けている。全体に占める割合も13年度の10・4%から16年度は15・7%に増えた。
最も金額が大きい事業収益は12年度の273億円から16年度は417億4千万円に。ただ、担当者によると、この増加は「日本サッカー協会など運営規模が大きな一部団体の収益増による結果」だという。
そうした状況を踏まえ、各団体が「ポスト2020」を見据えて事業収益を伸ばす方策について、同財団は「どうすれば観客がより楽しめるか意識し、固定観念に縛られないスポーツの見せ方を模索するべきだ」との見方を示している。(中川文如)