トランプ米大統領は17日の閣議で、2020会計年度(19年10月~20年9月)は各省に一律5%の予算削減を求めるとの方針を明らかにした。米財務省が15日、18会計年度の財政赤字が6年ぶりの水準に悪化したと発表したばかり。「5%」の根拠ははっきりしないが、財政悪化への批判に反応したものとみられる。
米財政赤字、6年ぶり水準 トランプ減税、歳出増 前年度比17%増
トランプ氏は、記者団が同席した閣議の席で、閣僚らに「5%カットの案を持ってきてほしい。ムダを省け。すさまじい効果があるはずだ」などと指示。「5%以上やれればとてもハッピーだ」とも述べた。
一方、記者団から、トランプ氏が増額を誇ってきた国防予算も5%カットするのか問われると、19会計年度の7160億ドルに対し「7千億ドルは維持する」と答えた。約2%のカットにとどまり、さっそく例外を認めた形だが、「民主党は軍が嫌いで米軍はひどい状態にあった。まだ修復の最中だ」などと正当化した。
トランプ政権の大規模な減税策で米経済は好況が続いているが、財政は悪化。2月に成立した超党派予算法で歳出額の上限も引き上げられ、与党共和党は伝統的な理念である財政均衡路線から逸脱した。財政悪化に伴う金利上昇など、世界経済に与えるリスクも意識されている。(ワシントン=青山直篤)