ガス機器大手パロマ(名古屋市)の社長に来年1月に就く中島真也副社長(53)が17日、名古屋市内で記者会見を開き、抱負を語った。同社では初めて創業家以外からの社長となる。2006年に発覚した湯沸かし器の中毒事故は、同族経営の弊害が指摘されたこともふまえ、「企業ガバナンス(統治)を一段と強化する」と述べた。
中島氏は名古屋工業大卒業後、1988年にパロマ工業(現パロマ)に入社。主に技術畑を歩み、15年に取締役に就いた。今年7月からは副社長。来年1月1日付で社長に就任する。
パロマは初代の小林由三郎氏が「小林瓦斯電気器具製作所」を創業した1911年以降、小林家が社長を継いできた。05年に4代目社長に就任した小林弘明氏(50)は、代表権のある会長に就く。中島氏は「(創業家出身社長が続けば)社長だけを見て社長に判断を委ねる受動的な態勢に陥りがちだ。大きな挑戦だが、気軽にお互いが話し合える社風にしたい」と話した。
パロマでは06年、ガス湯沸かし器の一酸化炭素中毒事故が発覚。同社によると、80~89年に製造した機器で05年までに28件の事故が起き、死者21人が出た。同社は事故を受け、社外取締役を迎えるなどの経営改革を進めてきた。
中島氏は経営の透明性を高める方針を示した一方、現社長の小林氏と同社に関係する二つの財団で全株を保有する同社の株式上場については、「現時点で具体的に考えているわけではない」と述べた。
パロマの17年12月期の売上高は前年比6%増の4234億円。大半を傘下の米給湯器・冷暖房機器リームが稼ぐ。小林氏がグループ全体と海外、中島氏が国内と役割分担をしながら事業拡大を図る。中島氏は「国内は人口減少が進んで難しい環境だが、チャンスがないわけではない。機能が充実した最新機器への取り換えの需要喚起をしていきたい」と話した。(竹山栄太郎)