鉄鋼業界が、炭素繊維など軽量な素材の台頭に危機感を強めている。主な出荷先の自動車業界では、低燃費実現のため軽い素材の採用が活発化。軽さで勝てなくても、鉄はリサイクルに適した環境に優しい素材だと訴え、「鉄離れ」を止めようとしている。
「鉄はリサイクルのチャンピオン」「(車が)リサイクルできない素材でできていたら、ごみの山だらけになっちゃう」
新日鉄住金は9月、こんな言葉を盛り込んだ6分20秒の動画をネットで公開した。鉄は磁石につくので回収しやすく、製造、使用、廃棄、リサイクルの各段階を総合的に考えると二酸化炭素(CO2)排出量を抑えやすいと主張する。同社は「CO2を排出する製鉄所の印象が先行して、鉄への誤解が生まれている。環境への負荷についての『評価軸』を変えたい」(広報)という。
日本鉄鋼連盟は昨年末、「鉄は、じつは軽い。」と記したポスターをつくった。計500枚以上を加盟社に配り、イベント会場でも掲示。鉄は「軽やか」にリサイクルでき、環境への負荷が「軽い」素材だとアピールする。「鉄は何度リサイクルしても品質が劣化しにくく、いろんな製品に生まれ変わることができる。鉄の可能性を知って欲しい」(広報)という。
猛アピールの背景には、素材業…