2020年東京五輪の公式記録映画の監督を、映画監督の河瀬直美さん(49)が務めることが23日、決まった。国際オリンピック委員会(IOC)が、カンヌ国際映画祭など各国の映画祭で受賞歴のある河瀬さんに白羽の矢を立てた。映画は21年春に完成予定。
2020東京オリンピック
河瀬さんは大会組織委員会を通じて「『時間』を記録し、『永遠』と成し得るドキュメンタリー映画の魅力を最大限にいかし、今大会の意義を世界に伝えたい」とコメントした。
奈良在住の河瀬さんは1997年、劇映画デビュー作「萌の朱雀」でカンヌ国際映画祭のカメラドール(新人監督賞)を史上最年少で受賞。2007年には「殯(もがり)の森」で第2席に当たるグランプリを獲得した。今年9月に亡くなった樹木希林さん主演の「あん」(15年)も監督した。日本人で初めてカンヌの審査委員を務めるほか、10年から故郷で「なら国際映画祭」を立ち上げ、後進育成にも尽力している。
五輪では20世紀初めからすべての大会で公式映画をIOCが作成。1964年東京大会では市川崑監督、72年札幌冬季大会では篠田正浩監督、98年冬季長野大会ではバド・グリーンスパン監督が指揮を執った。
河瀬さんは高校時代にバスケットボールで国体出場経験があるといい、組織委の森喜朗会長は「どのような視点で五輪を見つめ、どのように歴史として残してくださるか、非常に楽しみです」と話した。