ヨルダンのアブドラ国王は21日、1994年にイスラエルと結んだ平和条約で、イスラエルの土地所有者にヨルダン領の土地2カ所の使用権を25年間認めた合意について、期限が切れる来年、延長しないことを決めた。イスラエルに通知したことをヨルダンの国営ペトラ通信などが伝えた。
イスラエルのネタニヤフ首相は、合意の延長を求めてヨルダンと交渉する考えを示したが、両国関係が悪化する可能性がある。
ヨルダンはエジプトとともにイスラエルと国交を持つ中東では数少ない国だが、人口の約7割がパレスチナ系とされ、イスラエルに対する国民感情は良くない。イスラエルとの国境付近にある2カ所の農地などの使用権を認めないよう求める声が強まっており、アブドラ国王は「我々の領土に対する完全な主権を行使する」と述べた。
同国とイスラエルの関係は近年、ヨルダンが管理するエルサレム旧市街の聖地をめぐる対立や、イスラエルとパレスチナの和平交渉再開のめどが立たないことなどから、ぎくしゃくしている。(エルサレム=渡辺丘)