日中平和友好条約の発効から23日で40年が経ち、安倍晋三首相も25日から訪中する。40年前、来日した当時のトウ小平副首相は日本企業の生産現場を訪ね、近代化ぶりに驚いた。自らのこめかみを人さし指でたたき、「ここが足りないんですよ」。トウ氏が語ったこととは――。
首相側近が修正した親書、二階氏が習氏に 接近する日中
中国へのODA終了へ 40年で3兆円、近代化支える
東京・竹芝桟橋を出発したホーバークラフトが東京湾を渡り、新日鉄(現・新日鉄住金)君津製鉄所(千葉県)の埠頭(ふとう)に着いた。1978年10月26日午前10時前。降り立ったトウ小平氏を、140人の職員とともに稲山嘉寛会長が出迎えた。
熱した鋼を延ばす熱延工場では、見学通路の急な階段をゆったり上れるよう改造しておいた。上ったトウ氏は生産ラインを見下ろし、人影がないことに気付く。「今日は休みなんですか」
製鉄所長が「加熱から厚板を巻…