太陽光発電事業をめぐり、個人事業者を含め全国の約200社が税務調査で総額約70億円の申告漏れを指摘された。固定価格買い取り制度(FIT)に基づいて高値で発電分を売れる「売電権」を取引し、利益を得たブローカーもいた。関係者への取材でわかった。
FITに基づく買い取り価格は当初、事業用で1キロワット時あたり40円と国際的に見ても高値で、太陽光パネルなど設置費用の値下がりを待って建設に着手しない業者も多い。買い取り価格は年々下げられており、価格が高い時期に取得された発電事業の権利「売電権」は価値が高まった。売電権を取得したのに発電せず、権利だけを売って利益を得る業者や、その取引を持ちかける仲介業者の存在も指摘されていた。
関係者によると、こうした状況を背景に関東信越や広島、福岡などの各国税局が数年前から、太陽光発電の関連業者を集中的に税務調査。太陽光パネルの設置や送電に適した郊外地域の建設業者や、再生可能エネルギーの大手事業者などを調べたところ、収入の一部を除外したり、架空の支払手数料を計上したりして所得を圧縮したケースが目立った。売電権の取引を仲介して得た利益を適切に申告していなかった事例もあった。総額約70億円の申告漏れのうち、約40億円は意図的な所得隠しと認定されたという。
FITについては、事業者の利益が膨らみすぎるとして、国は制度見直しを決めている。国は2013年度以降、買い取り価格を毎年のように下げ、18年度は同18円、22~24年度に同8・5円にする方針。
■太陽光バブル、優遇税制…