九州電力管内で、太陽光発電業者らに発電を一部絞るよう求める「出力抑制(制御)」が時々起き始めている。九電が原発の稼働を続けたこともあり、昨年10月の初回はメディアが大きく取り上げた。出力抑制は他電力にも広がりそうだが、再生可能エネルギーの課題を研究する安田陽・京都大学特任教授は問題視しない。いったい、なぜか。
――出力抑制をめぐる報道ぶりに、強い違和感をもたれたそうですね。
「昨年10月に初めて出力抑制が起きたときは、風力発電の大量導入に関する専門家会合で欧州にいました。朝日新聞を含め1面トップにした新聞があり、テレビも大きく取り上げている様子をネットで追っていて、そんなに騒ぐようなことかなと感じました」
「風力や太陽光といった再エネ発電の出力抑制は、海外では約10年前からあります。日本では初めてだったから耳目を引いたのだと思いますが、報道の多くは表面的で、何のための出力抑制かが十分伝わっていませんでした」
――何が足りなかったと?
「出力抑制は、実は再エネをより多く入れるための安上がりな手段です。晴れると、太陽光の出力が跳ね上がります。冷暖房のいらない過ごしやすい休日の日中などは、電気があまり使われず供給が過剰になるので、出力を絞るわけです。再エネが増えれば出力抑制を求められる時間も増えますが、そんな一部を捨てても年間を通した再エネの発電電力量を増やすことを目指すべきなのです」
――捨てるのはもったいなく思えますが。
「捨てると一時的に損になりま…