中部電力が社名の変更を検討していることが3日、わかった。2020年春にも、社名から「電力」を外す可能性がある。都市ガスやAI(人工知能)を使った新サービスへ業態を広げるなか、新たな企業イメージを打ち出す。販売地域の広がりを背景に「中部」をなくす案も浮上している。
見直しはブランド戦略の一環。関係者によると、「ガス&パワー」などを社名の一部にとりいれる案を検討しているという。
近年、中電は電力だけに頼らない収益構造をつくろうとしている。17年4月に参入した家庭向けのガス小売りでは、20万件に迫る顧客を獲得。スマートフォン(スマホ)で家電を遠隔操作できる新サービス提供も始めた。販売地域は、関東に続いて関西での電力小売り全面参入を決め、全国的な知名度アップが課題となっている。
一方、社内からは「名前はブランド力だ」(幹部)として、変更後も「中部電力」の4文字は残すべきだとの声も出ている。
20年春には組織を変え、送配電と販売のそれぞれの部門を分社化し、子会社にする方針も固めた。原子力部門は本体に残す。火力発電部門は東京電力との共同出資会社「JERA(ジェラ)」に、19年4月に統合することが決まっている。(山本知弘)