サウジアラビア人記者の殺害事件が、サウジのムハンマド皇太子(33)の王位継承に影を落とし始めた。事件が起きたトルコのエルドアン大統領が「サウジ政府の最高レベル」の指示だと主張。皇太子の関与を示唆したと受け止められているためだ。
トルコ、皇太子関与に触れず サウジ追い込むも恩は売る
【特集】事件の経緯は、王室の関与は…サウジ人記者殺害疑惑
エルドアン大統領は2日の米ワシントン・ポストへの寄稿で、事件について「サウジ政府の最高レベルから指示が出たのを知っている」とした。
ムハンマド皇太子はサルマン国王(82)の七男で、2015年1月に国王が即位すると国防相に任命された。同年4月に副皇太子、17年6月には皇太子に昇格し、王位継承順位1位になった。サルマン国王が前任の2人の皇太子を解任した後に実現した人事で、ムハンマド皇太子は高齢の国王に代わって内政と外交を取り仕切り、一時は王位の生前譲位も取りざたされた。
ただ、長年、有力者間の合意を重んじてきたサウジ王室で、国王による皇太子の特別扱いに、王位の「私物化」という批判もあったとされる。昨年11月には、「反腐敗」を名目に王族ら300人以上が逮捕され、皇太子の「権力固め」とも受け止められた。
サウジの国名は、アラビア語で「サウド家のアラビア」を意味する。最も重要なのは、王室が統治する国の形を維持することだ。サウジ政府はこれまで皇太子の関与を一貫して否定。ただ、事件への関与を疑う声が消えず、「若き改革者」へのイメージが崩れれば、王位継承に影響を与える可能性も指摘される。
米ニューヨーク・タイムズなどによると、サルマン国王の実弟のアハマド王子が10月30日、数カ月ぶりに滞在先のロンドンから帰国した。王子はムハンマド皇太子のやり方に不満を持つ存在とも言われる。王室内での信頼が厚い70歳代の王子の帰国は、皇太子の権力を抑制する動きとの見方も出ている。皇太子の実弟で一部メディアで後任候補とささやかれる駐米大使のハリド王子も帰国したとされ、後継問題に関係する動きではないかと、臆測を呼んでいる。
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