タックスヘイブン(租税回避地)にある子会社の税務処理をめぐり、日産自動車が東京国税局から2017年3月期に約200億円の申告漏れを指摘されたことがわかった。追徴課税(更正処分)は過少申告加算税を含め約50億円とみられる。同社は処分を不服として国税不服審判所に審査請求した。
同社や関係者によると、同社が自動車ローンに関して支払う保険料の一部が、税負担の軽いバミューダ諸島にある子会社に入っていた。この子会社の所得について国税局は、日本で支払う税金を減らすのを防ぐ「タックスヘイブン対策税制」を適用。日産の所得と合算するべきだとして、申告漏れを指摘した。日産側は、子会社は関連会社以外との取引が多く、同税制の適用除外となる「非関連者基準」を満たしていると反論し、争っているという。
日産は「当社の処理は適正だったと認識している。租税回避行為ではない」などとコメントした。
同税制は1978年に導入された。ソフトバンクグループ(SBG)も、タックスヘイブンの子会社所得約747億円を合算対象とされるなどし、計約939億円の申告漏れを指摘されたことが4月に明らかになった。(花野雄太)