石油輸出国機構(OPEC)や非加盟のロシアなどの一部産油国でつくる減産の監視委員会は11日の会合で、世界経済の減速から来年は原油の供給が需要を上回るとの見通しを示した。これまでは供給不足の懸念から減産を緩和して生産を増やしてきたが、12月のOPEC総会では、一転して協調減産の期間延長など来年以降の減産の具体策が話し合われる見通しになった。
OPECとロシアなど非加盟国は2017年1月から協調減産を開始し、今年末までは各国に上限を設けて生産を抑えることにしている。しかし、目標より大幅に生産を減らしたうえ、米国によるイランへの経済制裁の再開決定を受け、イランからの供給が減るとの不安が広がった。このため、今年6月に減産を緩和し、段階的に1日あたり約100万バレル増やす方針を決めた。
ところが、世界経済の減速懸念が強まったうえ、米国が今月始めたイラン産原油の禁輸について、日本など一部の国に一時的な適用除外を認めた。これを受け、原油が余るとの見方が出て、原油の国際的な指標「米国産WTI原油」の先物価格は9日に一時、1バレル=59ドル台前半と約9カ月ぶりの安値をつけた。
このため一部の産油国から増産方針を転換し、価格下支えのために来年以降も協調減産を続けることを求める声が上がっている。(ロンドン=寺西和男)