日々進化する生地に対して、どんなミシン針ならうまく縫うことができるのか。企業や工場からの相談を解決する達人がいます。
オルガン針 開発本部技術営業課係長 三矢麻衣さん(41)
ワイシャツ、下着といった衣服だけでなく、財布や靴、バッグと、世の中は縫い物であふれている。多くの消費者が注目するポイントの一つは生地だろう。素材メーカーが、耐久性、美しさ、軽さ、吸水性、速乾性といった機能の開発にしのぎを削るが、ミシンで問題なく縫えるかどうかの確認は後回しになりがち。この生地をきれいに縫いたい――。そうした顧客企業の技術相談に応じる先頭に立つ。
針メーカーの「オルガン針」(長野県上田市)は、縫製工場やアパレル企業をおもな顧客とし、2020年に創業100年を迎える。削りや熱処理など数十の工程をへてつくるミシン針は、生地や糸に直接触れるため、細かな部分で最終商品のできばえや工場の生産性を左右しやすい。用途や太さ、針先の形や表面処理の違いもある。同社のミシン針は7千種類。シェアは国内で8割、世界でも2割に達する。
技術相談の中身は多彩だ。例え…