サウジアラビア人記者のジャマル・カショギ氏がトルコ・イスタンブールのサウジ総領事館で殺害された事件で、サウジ検察は15日、殺害に関わったとされる5人に死刑を求刑すると明らかにした。サウジの国営通信が伝えた。また、サウジ検察は、ムハンマド皇太子の関与はなかったとも説明。事件の早期の幕引きを図る構えとみられる。一方、米財務省は同日、犯行に関わったとして、サウジ政府関係者ら17人に経済制裁を科した。
【特集】事件の経緯は、王室の関与は…サウジ人記者殺害疑惑
同通信などによると、この事件で、サウジ検察は21人を拘束し、うち11人を起訴。事件に関与したなかで最も高い地位にいたのは、事件を受けて解任された情報機関のアフメド・アシリ副長官であったとの見解を示した。また、カショギ氏は致死量の薬物を投与され、遺体は領事館内で切断され外部に持ち出されたとしたが、依然、所在は明らかになっていないという。
一方、AP通信などによると、トルコのチャブシュオール外相はサウジ側の説明について「不十分だ」と発言。「真犯人が明らかにされるべきで、このような形で捜査を終えることはできない」と釘を刺した。
事件を巡っては、トルコのエルドアン大統領が、「殺害命令がサウジ政府の最高レベルから出た」と表明。サウジと米英独仏に現場の音声記録を提供した。
米財務省によると、制裁の対象になったのは王室顧問だったサウード・カタニ氏や在イスランブール総領事のオタイビ氏ら17人で殺害の計画や実行に関与したという。ムニューシン財務長官は「米国は全ての事実を明らかにするため入念に取り組む」とし、「サウジ政府は政治的な反対者やジャーナリストを標的にするのをやめるよう適切な処置をしなければならない」と要求した。ただ、ムハンマド皇太子への言及はなかった。(テヘラン=杉崎慎弥)